AIの仕事は、人間が確認するだけでは不十分?
AIが人間の指示を受けて作業するだけでなく、自ら手順を考え、複数の処理を進める「AIエージェント※1」の活用が広がっています。
一方で、AIエージェントの判断や操作を人間が確認するだけでは、十分な安全性を確保できないという指摘があります。

これまで、AIを業務に活用する際には、人間が途中で確認や承認を行う「ヒューマン・イン・ザ・ループ※2」という考え方が重視されてきました。
例えば、AIが作成した文章を人間が確認してから公開する仕組みです。誤った内容が含まれていても、公開前に人間が修正できます。
しかし、AIエージェントが複数のシステムを操作する場合は、事情が異なります。
AIエージェントは、データの取得や更新、ファイルの作成などを連続して実行できます。そのため、一つの操作に誤りがあると、その後の処理にも影響が広がる可能性があります。
例えば、企業のデータベース※3で、AIエージェントが商品情報を自動更新する業務を考えてみましょう。
AIが誤った価格を登録し、その情報をもとに別のシステムが請求書を作成した場合、最初の入力ミスが複数の業務に影響します。
人間が後から誤りに気づいても、どのデータが変更されたのか分からなければ、修正には多くの時間が必要です。
そこで重要になるのが、AIの操作を記録し、必要な部分だけを元に戻せる仕組みです。
ITシステムでは、過去の状態に戻す操作を「ロールバック※4」と呼びます。AIエージェントの場合も、変更内容を記録しておけば、問題のある操作を特定して修正しやすくなります。
また、AIに与える操作権限を必要最小限に制限することも重要です。情報を閲覧するだけでよい業務なら、データを削除する権限まで与える必要はありません。
つまり、AIエージェントの安全性を高めるには、人間による確認に加えて、誤操作を防ぎ、問題が起きた場合に復旧できる仕組みが必要なのです。
IT業界に携わるわたしたちは、AIエージェントを導入する際、どこまで操作を許可し、誤りが起きた場合にどう元に戻すかを事前に決めておくことが大切です。

※1 AIエージェント:目的に応じて作業手順を考え、外部のツールやシステムを利用しながら処理を進めるAIの仕組み。
※2 ヒューマン・イン・ザ・ループ:AIの処理や判断の途中に人間が関与し、確認や承認を行う仕組み。
※3 データベース:大量の情報を整理して保存し、検索や更新をしやすくした仕組み。
※4 ロールバック:システムやデータを、変更前の状態に戻す操作。
