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AI効率化を隠す社員が生まれる理由

  • 投稿カテゴリー:業務

生成AIを使って仕事を効率化しても、その成果を会社に報告しない従業員がいることが話題になっています。仕事が早く終わったことを伝えると、新しい仕事を追加される一方で、給与や評価には反映されないのではないかという不安が背景にあります。

生成AIは、文章の要約や資料の下書き、情報整理など、これまで人が時間をかけていた作業を短縮できる場合があります。さらに、よく使う指示をプロンプト※1として整理したり、複数の作業をワークフロー※2としてまとめたりすることで、毎回同じような作業を効率よく進めることもできます。

例えば、毎月作成している社内報告資料があるとします。これまでは過去の資料を確認し、必要な情報を抜き出して文章を作るまでに3時間かかっていたものを、生成AIで情報整理と下書きを行うことで2時間に短縮できるかもしれません。

このとき、浮いた1時間をどう扱うかが問題になります。

会社側から見れば、同じ時間でより多くの仕事を進められるため、生産性※3が上がったと考えられます。一方、従業員側から見ると、工夫して効率化した結果として仕事だけが増えるのであれば、「効率化したことを報告しないほうが得だ」と感じる可能性があります。

これは生成AI特有の問題というより、以前からある業務改善にも共通します。例えば、Excelの操作を工夫して1時間かかっていた集計を10分で終えられるようにしても、その改善が評価されず、空いた50分に別の仕事だけが追加されれば、改善を積極的に共有する動機は弱くなります。

生成AIによって、この問題がより目立つようになったと考えられます。AIは文章作成や調査、データ整理など幅広い仕事に利用できるため、個人の工夫によって作業時間に大きな差が生まれる可能性があるからです。

ITの視点では、ここで重要になるのが属人化※4です。ある人だけが便利なプロンプトやAIの使い方を知っている状態では、その人が異動したり退職したりすると、効率化のノウハウも一緒に失われてしまいます。組織としては、便利な使い方を共有し、誰でも利用できる形にすることが望ましいでしょう。

ただし、共有を促すだけでは十分ではありません。改善方法を考えた人や、周囲に使い方を教えた人が適切に評価される仕組みも必要です。「AIを何回使ったか」ではなく、「どのような業務を改善し、どのような成果につながったか」を見ることが重要になります。

IT業界に携わるわたしたちが取るべき行動の一つは、生成AIで効率化した時間だけを見るのではなく、その改善方法を再利用できる形に残すことです。プロンプトや手順を共有しやすくするとともに、改善への取り組みそのものを評価できる環境を整えることが、AIを長く活用するための土台になります。

※1 プロンプト:生成AIに入力する指示や質問のことです。

※2 ワークフロー:仕事を進めるための一連の作業手順のことです。

※3 生産性:投入した時間や労力に対して、どれだけ成果を得られたかを示す考え方です。

※4 属人化:特定の人しか仕事の方法や知識を把握していない状態のことです。